代数系入門 (松坂和夫) 第2章 §5 問題2 解答


代数系入門(松坂和夫) の 第2章 §5 問題2 の解答です。

命題

( H ) , ( K ) を ( G ) の部分群とするとき、 ( HK ) が ( G ) の部分群となる必要十分条件は ( HK=KH ) 。

証明

( e in H ) , ( e in K ) より ( e = ee in HK ) で、 単位元 ( e ) は ( HK ) に含まれます。

必要性の証明

( HK ) が部分群だと仮定します。

( HK ) の任意の元 ( hk , ( h in H, , k in K ) ) を考えます。 ( hk ) の逆元を ( h’k’ in HK , ( h’in H, k’ in K ) ) とすると、 ( h’k’ ) の逆元 ( hk ) は ( HK ) の元であり、 ( (h’k’)^{-1} = k’^{-1} h^{-1} in KH ) より ( HK ) の元でもあります。 これより ( HK subset KH ) です。

また逆に ( KH ) の任意の元 ( kh , ( h in H, , k in K ) ) を考えた時、 その元の ( G ) での逆元 ( h^{-1} k^{-1} ) は ( HK ) の元で、 ( HK ) は群ですから さらにその逆元 ( (h^{-1} k^{-1})^{-1} = kh ) も ( HK ) の元とまります。 これより ( KH subset HK ) です。

以上より ( HK = KH ) です。

十分性の証明

( HK = KH ) と仮定します。

( HK ) の任意の元 ( hk , ( h in H, , k in K ) ) について、 ( h^{-1} h k k ^{-1} = e in HK ) 。 これより ( hk in h HK k = HK ) で、 ( HK ) は乗法について閉じていることがわかります。

また ( HK ) の任意の元 ( hk , ( h in H, , k in K ) ) を考えます。 この ( G ) での逆元 ( (hk)^{-1} = k^{-1} h^{-1} ) は ( KH ) すなわち ( HK ) の元となり、 逆元が存在することもわかります。

以上より ( HK ) は部分群となります。