、台湾の立法院(国会)おいて中国とのサービス貿易協定が可決された。この協定は不平等条約のようなもので、立法院は条文の1つ1つを審議すると言っていたが審議せず、時間とともに成立してしまった。
この無茶苦茶なやり方に学生や医師弁護士が立法院を占拠した。占拠の甲斐あって、には審議をやり直すことになった。
ところでこのサービス貿易協定がどんな内容なのか、わからなかったので資料を元にまとめてみた。(いや、あるスライドの内容を映したというほうが正しい。)
サービス貿易協定 概要
- 中国と台湾がに締結した「経済協力枠組み協定(ECFA)」に基づいた具体化協議の1つ。
- 台湾と中国におけるサービス貿易制限を解除し、市場を相互に開放し、貿易の自由化を目指す。
メリット
- 台湾は、巨大市場を有している中国に進出し、利益を得る。
- 中国は台湾で投資すれば、台湾人の雇用機会を創出し、台湾の経済を成長させる
開放する市場
台湾が中国に開放 | 中国は台湾に開放 | |
---|---|---|
コンピュータ・レンタカー・平面媒体広告・印刷業 | 商業サービス | 印刷業(ただし中国側が主導権を握る) |
インターネット業者 | 通信 | オンラインショップ業者は福建に拠点を置ける。(株式保有率は55%以下) |
老人ホーム | 健康や社会 | 台湾企業は独資で大陸で病院を立てることができる |
レストラン・観光ホテルは台湾に拠点を置ける。台湾で最大三社の旅行会社が設立できる。 | 観光旅行 | 旅行業 |
遊園地・運動場(ゴルフ場を除く) | 娯楽・文化・スポーツ | コンサートホール・劇場・運動場(ゴルフ場を除く) |
物流・ケーブルカー業者は台湾で拠点を置け、交通ターミナルを設立できる | 運輸 | 台湾は大陸の高速バス業者の株を49%保有できる |
台湾側は不利じゃないか?と思えてきますね。
この協定が台湾に与える影響
- 中小企業の壊滅
- 中国の大手企業が「一条竜」というビジネスモデル(原料から販売まですべてのプロセスが一つの会社に行われる)を用いて台湾に進出し、 低コストの商品やサービスを提供すれば、台湾の中小企業は中国の大手企業に勝てない。 台湾における数多くの中小企業は潰されるおそれがある。
- 人材流出・品質低下
- サービス貿易協定によって、台湾は中国で病院を設立することができる。 それが現実になると、台湾の優れた医療人材は中国に行き、台湾は医療人材を失う。 台湾人民が受ける医療サービスの品質は低下するおそれがある。
- 環境破壊
- サービス貿易協定によって、中国の旅行会社は台湾で拠点を置き台湾観光ツアーを行うことができる。 しかし、旅行事業で得た利益はすべて中国の旅行会社に属し、台湾は観光地開発による環境破壊などの犠牲を払う。
- 言論・情報・安全の侵害
- 中国企業は台湾で20万ドル以上(約2048万日本円)を投資すれば台湾へ技術移民できる(人数枠: 2人)。 さらに50万ドル(5120万円)を加えれば、人数枠はまた一つ増える。 最大7人まで技術移民できる。 他国の技術移民規定と比べると遥かに緩い。 ハードルの低そうに見えるアメリカでも5000万円程度は必要で、且つ技術移民者の純資産額は1億円以上必要。
一部悲観的なところもあるように思うが、台湾の人たちが気にしているのはこういうことらしい。 もっと短くまとめると以下のようになります。
- 台湾の一般市民や中小企業は利益を得られない。
- 中国の企業や個人は台湾の資源を利用し、台湾人民は中国の台湾進出のコストを負担する。
- 台湾は中国に開放し、台湾経済はますます中国に依存することになり、台湾の経済主体性を失う。
- 中国が台湾の経済を支配し、台湾が中国から離れられなくなれば、経済だけでなく政治上も中国に依存することになる。
立法院を占拠した経緯・理由
以上を踏まえて立法院占拠に至った経緯・理由を見てみる。
- 審議が不透明
- 、サービス貿易協定が 密かに締結されるというニュースが流れ、物議を醸した。
- 立法院は、「サービス貿易協定は、一箇条ずつ審議し表決すべきだ。 立法院によって審議・通過しなければ成立できない」と結論づけた。
- 無用の公聴会
- に、サービス貿易協定を審議する前に合計16回の公聴会を開くと決定された。
- しかし、公聴会は形式主義に陥った。
- に3回、10月2日に3回、10月3日に2回、一週間で合計8回の公聴会が行われた。
- 公聴会で、学者や公民団体の意見は伝えられなかった。
- 民意に反する強行採決
- 、中国国民党の張慶忠立法 委員は立法院会議の司会を担当し、僅か30秒(一説は3分間)で、「サービス貿易協定は3ヶ月の審議期限をオーバーしたため審議完成と見なされる」と述べ会議を終えた。
- 議席を多数占めている国民党は、「一箇条ずつ審議する」という約束を破り、サービス貿易協定を強行採決しようとした。そうなると、サービス貿易協定は、、、の何れかに成立する。
- 不満が噴出
- サービス貿易協定を成立させないために、、約300人の学生は立法院に入り立法院を占拠した。立法院は史上初占拠された。
- 立法院場内外の占拠・抗議はも続いていた。
- 、立法院周辺に2万人、・3万人以上が集まった。