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和算 旅人算


旅人算 について説明します。 差がどうやって変わっていくのかに注目します。

例題

甲と乙が同じ場所にいる。 甲が分速 60 m で北へ向かって歩き出した。 その 4分後に乙が北へ向かって分速 80 m で北へ向かって歩き出した。 2人が出会うのは、乙が歩き始めてから何分後か。

答え

12 分後

解法

4分後、甲は、出発地点より ( 60 times 4 = 240 textrm{m} ) 離れた地点にいます。 このとき甲と乙の距離は 240 m です。

乙は4分後に北に向かって歩き出します。

甲も乙も北に向かっていますが、乙のほうが早いので 2 人 はどこかで出会います。

240 m の距離がどのように縮まっていくのかを考えます。 甲は分速 60 m 、 乙は分速 80 m ですから、 1 分 あたり ( 80 – 60 = 20 textrm{m} ) 縮まることになります。

ということは、甲と乙の距離が 0(ゼロ) 、つまり甲と乙が出会うのは、

[ 240 div 20 = 12 textrm{[分後]} ]

よって、 2人が出会うのは、乙が歩き始めてから 12 分後 となります。

ちなみに、不動産や地図に関する ” 徒歩 5 分 ” などの表示は、分速 80 m で計算されています(記事執筆時点での情報)。

練習問題

問題1

太郎と次郎が同じ地点から 360 m 離れた地点に行って戻ってきます(往復します)。 太郎が分速 75 m で、 次郎が分速 45 m で歩くとき、 2人が出会うのは何分後ですか?

答え

6 分後

解法

太郎のほうが速いので、太郎は折り返し地点からの復路で、次郎は折り返し地点への往路で出会います。 出会うまでに 2人 が進む距離は 合計 720 m です。

720 m の距離は 2人の速さの和のペースで縮んでいきます。 具体的には 分速で

[ 75 + 45 = 120 textrm{[m]} ]

となります。

よって、距離が 0(ゼロ) になるのは

[ 720 div 120 = 6 textrm{[分後]} ]

です。

別解法

太郎が先に折り返し地点に到達するので、 太郎が折り返し地点についたところまで時間を進めてみます。

太郎が折り返し地点につくのは

[ 360 div 75 = frac{24}{5} textrm{[分後]} ]

です。

このとき次郎は出発地点から

[ 45 times frac{24}{5} = 216 textrm{[m]} ]

のところにいます。

このとき 折り返し地点にいる 太郎 と、 往路にいる 次郎 の距離は

[ 360 – 216 = 144 textrm{[m]} ]

です。

この 144 m を太郎と次郎が向かい合って歩くので、 2人が出会うまでには

begin{eqnarray} & & 144 div left( 75 + 45 right) & = & 144 div 120 & = & frac{6}{5} textrm{[分]} end{eqnarray}

かかります。

以上より、 2人が出会うまでの時間は

[ frac{24}{5} + frac{6}{5} = 6 textrm{[分]} ]

です。

問題2

ジョンソンがオフィスからトイレに駆け込みます。 ジェイムズがトイレからオフィスに戻ってきます。 いま、オフィスとトイレが 28 km 離れているとします。 ジョンソンが時速 5 km で走り、ジェイムズが時速 2 km で歩くとすると、 2人がすれ違うのは何分後ですか?

答え

240 分後

解法

オフィスとトイレの間をジョンソンとジェイムズが向かい合って移動します。 2人の距離 28 km は 時速 ( ( 2 + 5 = ) ) ( 7 ) km で縮まっていきます。

[ 28 div 7 = 4 ]

より、 4時間後にすれ違うことがわかります。 4時間は 240分 なので、答えは 240分後になります。

方程式で解く

例題を方程式で解いてみます。

甲と乙が同じ場所にいる。 甲が分速 60 m で北へ向かって歩き出した。 その 4分後に乙が北へ向かって分速 80 m で北へ向かって歩き出した。 2人が出会うのは、乙が歩き始めてから何分後か。

解法

乙が歩き始めてから ( x ) 分後 に出会うとして式を立ててみましょう。 甲は乙より4分先に出発しているので、 ( x + 4 ) 分 歩くことになります。

[ 60 left( x + 4 right) = 80 x ]

これを解いて

[ x = 12 textrm{[分後] 。} ]

和算 鶴亀算


桂三枝の新作落語「宿題」にも出てくる鶴亀算を説明してみます。 一番最初はうさぎとひつじを数える雉兎算として大昔の中国で考えられたものらしいです。

例題

鶴と亀、あわせて、足の数は78、頭の数は34。 鶴と亀の個体数を求めよ。

頭を数えた時点でどちらが何匹かはわかりますが、ここはそういう問題です。

答え

鶴が29羽、 亀が5頭。

解法

鶴亀算も他の計算と同じで、差を使って答えを求めます。

鶴も亀も足は2本以上です。 ということは、少なくとも ( 34 times 2 ) 本 の足があります。

[ 34 times 2 = 68 ( textrm{本} ) ]

今、 78本の足があり、 68本との差は “10本” です。

どうして差が出てくるのか。 それは亀の足の数が4本だからです。 つまり、 差の “10本” は すべて亀の足です。

亀1頭につき 2本 の差が出てくるので

[ 10 div 2 = 5 ( textrm{頭} ) ]

が亀の頭数です。

亀が 5頭 なので、 個体数 34 から 5 を引いて 鶴は29羽です。

もしすべて亀だったら…と書いてある本もあります。 それは全て亀だった場合と、足の総本数との差から計算をするやり方で、 基本的に同じです。

練習問題

問題1

230ページ の本と 180ページ の本があわせて 9冊 あります。 ページ数は、合わせて 1920ページ。 2種類の本はそれぞれ何冊ありますか?

問題2

白米3kgの入った袋と玄米2kgの入った袋があります。 2種類の袋は合わせて45袋。重さ(質量)はあわせて 113kg。 白米は全部で何kgありますか?

答え

69kg

方程式で解く

鶴と亀、あわせて、足の数は78、頭の数は34。 鶴と亀の個体数を求めよ。

解法

( x ) 、 ( y ) を使って連立2元1次方程式で解いてもいいですが、 1次方程式で解いてみます。

亀の数を ( x ) とします。 全部で 34匹 なので 鶴は ( left( 34 – x right) ) 匹 です。

足の数は 78本 なので、 次の式が成り立ちます。

[ 4 x + 2 left( 34 – x right) = 78 ]

この式を解いて

[ x = 5 textrm{。} ]

これより亀が5頭で鶴が ( 34 – 5 = 29 ) 羽です。


WHO ツボの位置の世界基準を作成


昨日、読売新聞(2面)に載っていました。 ツボの位置が、日本、中国などでバラバラだったり、ずれていたりすることがあるから、統一しようという動きがあるそうです。

同じ名前違う位置というのはわかりにくいですからね。

記事によると、統一の動きは16年前には既にあったそうです。

ツボの位置、WHOが世界基準決定へ

はり・きゅうで使われる361か所のツボの位置が国際的に統一されることになった。世界保健機関(WHO)が茨城県つくば市で31日から開く国際会議でツボの統一基準を決める。

現在はツボの位置が国ごとに異なり、それぞれ効果はあるとされるが、国際的に効用などを議論する際に混乱のもとになっていた。

(省略)

WHO は1989年に361か所のツボの名称を統一し、国際番号をつけた。さらに、2003年から日中韓の研究者からなる諮問会議を設け、位置の統一を検討してきた。

2006年10月27日3時4分 読売新聞

WHO のページ (リンク切れ: http://www.who.or.jp/index.html) で “therapeutic” などを検索すると ツボに関するPDFが見つかります。 (時点では見つけられませんでした。)


損益分岐点の計算


損益分岐点の計算式は多くの本で次のように紹介されています。

[ textrm{(損益分岐点)} = frac{textrm{(固定費)}}{ 1 – frac{ textrm{(変動費)}}{textrm{(売上高)}}} ]

損益分岐点は、売上と費用が等しくなる点なので、ある条件の下で常に一定となります。

売上高が変動費と固定費の和となるとき、固定費を売上高に占める固定費の割合で割ることで、損益分岐点の売上高が計算できるという仕組みです。

売上高を計算式に含みますが、売上高が変わっても損益分岐点は変わりません。 このことを数式を2つ使ってわかりやすく書いてみます。

記号

説明を簡単にするために記号をつける。

( E ) 損益分岐点 (the Break-Even Point) 定数
( F ) 固定費 (Fixed Cost) 定数
( V ) 変動費 (Variable Cost) 変数
( V _E ) 損益分岐点での変動費 定数
( S ) 売上高 (Sale of Value) 変数

説明

前提

損益分岐点での売上高 ( E ) は 費用全体に等しく、 費用全体は 固定費 ( F ) と 変動費 ( V_E ) に分けられます。 これより

[ E = F + V_E . ]

固定費 ( F ) は 売上高 ( S ) に関係なく出ていく費用です。 例えば、銀行からお金を借りていれば、売上高に関係なく一定のお金を支払わなければなりません。

変動費 ( V ) は外注加工費などの売上高 ( S ) に比例して出ていく費用です。 ( a ) を比例定数として

[ V = a S ]

と書けます。 同様に

[ V_E = a E ]

となります。 この2式より、

[ V_E = frac{V}{S} E ]

が得られます。

固定費 ( F ) 以外のものがすべて売上高 ( S ) に比例するほど世の中単純ではないですが、そういう分け方になっています。

計算

( E = F + V_E ) から ( V_E = frac{V}{S} E ) を使って ( V_E ) を消去します。

[ E = F + frac{V}{S} E ]

これを ( E ) について解きます。

begin{eqnarray*} left( 1 – frac{V}{S} right) E & = & F E & = & frac{F}{1 – frac{V}{S}} end{eqnarray*}

これが損益分岐点です。

ポイント

損益分岐点の計算式に含まれる変数は ( V ) と ( S ) です。 しかし ( frac{V}{S} ) ((=a)) は定数ですから、 損益分岐点は実質的に定数だけの式になります。

[ E = frac{F}{1 – a} ]

売上高が変わっても損益分岐点は変化しません。

また、ここへ来るまでに使ったのは

  • 変動費売上高に比例する
  • 損益分岐点は売上と費用が等しいときの売上高

という2点だけで ( a ) の値などは一切計算していません。 この2点さえ理解していればあとは計算で導けます。