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指数分布についてまとめました。
定義
正数 λ を用いて 確率密度関数 f(x) が 次のように表される確率分布を指数分布と言います。
f(x)={0(x≤0)λe−λx(0<x)確率変数 X が 指数分布に従うとき、 X Exponential(λ) と書きます。
複数回起きる現象があり、現象が起きてから次に現象が起きるまでの時間を X, その期待値を 1λ と定めた場合の分布です。 期待値を決めることで、自動的に確率分布が決定されます。
具体例
台風が過ぎ去ってから次の台風が来るまでの時間 X とその期待値 1λ。
トイレに行ってから次にトイレに行くまでの時間 X とその期待値 1λ。
期待値
指数分布の期待値は次のように計算されます。
E(X)=∫∞−∞xf(x)dx=∫0−∞xf(x)dx+∫∞0xf(x)dx=0+∫∞0xf(x)dx=∫∞0xf(x)dx=∫∞0λxe−λxdxここで t=−λx とします。 x=–tλ です。
E(X)=∫−∞0−tetdxdtdt=∫−∞0−tet{ddt(−tλ)}dt=–1λ∫−∞0−tetdt=1λ∫−∞0tetdt=1λ[−et+tet]−∞0=1λ{(–0–0)–(–1+0)}=1λ分散
指数分布の分散は次のように計算されます。
V(X)=∫∞−∞(x–1λ)2f(x)dx=∫∞0(x–1λ)2f(x)dx=∫∞0λ(x–1λ)2e−λxdxここで t=−λx とします。 x=–tλ です。
V(X)=∫−∞01λ(t+1)2etdxdtdt=∫−∞01λ(t+1)2et{ddt(–tλ)}dt=−1λ2∫−∞0(t+1)2etdt=−1λ2∫−∞0(t2+2t+1)etdt=−1λ2[(t2et–2tet+2et)+(2tet–2et)+et]−∞0=−1λ2[t2et+et]−∞0=−1λ2{(0+0)–(0+1)}=1λ2X の尺度は確率に影響しない
たとえば、台風が来るまでの時間を確率変数として、年で表したものを Xyear、日で表したものを Xday とします。 便宜的に、1年を365.25日とすると、 λyear=365.25λday となります。
このとき、 Xyear が 2年以下になる確率は Xday が 365.25×2=730.5 以下になる確率と同じです。 尺度に関わらず、指数分布に従うとした場合、確率変数の意味する範囲が同じであれば同じ確率になります。
Xa∼Exponential(λa), Xb∼Exponential(λb) とします。 xa は尺度を変えると cxb に相当するものとします。 先ほどの年と日の例で言えば、 c=365.25 です。 このとき、期待値について 1cλa=1λb の関係となりますから、 cλa=λb となります。
このとき
P(cα≤xa≤cβ)=∫cβcαλae−λaxadxa=∫βαλae−cλaxbdxadxbdxb=∫βαcλae−cλaxbdxb=∫βαλbe−λbxbdxb=P(α≤xb≤β).R での計算
R で指数分布を計算するには dbinom
, pbnom
を使います。
- dexp
dexp(x, l)
は X∼Exponential(l) なる X について P(X=x) を計算します。- pexp
pexp(x, l)
は X∼Exponential(l) なる X について P(X≤x) を計算します。- qexp
qexp(p, l)
は X∼Exponential(l) なる X について P(X≤p)≥p となる最小の X を計算します。- rexp
rexp(n, l)
は X∼Exponential(l) なる X を n 個 ランダムに抽出します。。