代数系入門(松坂和夫) の 第2章 §5 問題14 の解答です。
命題
( N_1 ) , ( N_2 ) が ( G ) の正規部分群で ( N_1 cap N_2 = left{ e right} ) ならば ( N_1 ) の任意の元と ( N_2 ) の任意の元は可換。
証明
任意の元 ( n_1 in N_1 ), ( n_2 in N_2 ) を考えます。 ( n_1 n_2 in n_1 N_2 = N_2 n_1 ) ですから、 ( n_1 n_2 = m_2 n_1 ) なる元 ( m_2 in N_2 ) が存在します。
( n_1 n_2 in N_1 n_2 = n_2 N_1 ) なので、 ( n_1 n_2 = n_2 m_1 ) となる元 ( m_1 in N_1 ) が存在します。
以上より、 ( m_2 n_1 = n_2 m_1 ) です。 左から ( m_2 ^{-1} ) を掛け、 右から ( m_1 ^{-1} ) を掛けると begin{equation} n_1 m_1^{-1} = m_2^{-1} n_2 end{equation} が得られます。 左辺は ( N_1 ) の元であり、 右辺は ( N_2 ) の元となります。 今、 ( N_1 cap N_2 = left{ e right} ) ですから、 左辺に注目すれば ( n_1 m_1 ^{-1} = e ) 、 したがって ( m_1 = n_1 ) です。 同様に ( m_2 = n_2 ) です。
( m_1, m_2 ) を上の式に代入すると、 ( n_2 n_1 = n_1 n_2 ) となり、 ( N_1 ) の元と ( N_2 ) の元が可換であることがわかります。