振動・波動でよく出てくる線形微分方程式の解き方


振動・波動理論でよく出てくる線形微分方程式について説明します。

線型微分方程式

振動・波動でよく出てくる線型微分方程式は、次の形で表される方程式です。

[ alpha _n frac{d^n x}{dt^n} + alpha _{n – 1} frac{d^{n-1} x}{dt^{n-1}} + cdots + alpha _1 frac{dx}{dt} + alpha _0 x = 0 ]

性質

(n)階線形微分方程式の一般解は (n)個の定数を含む
1つの解の定数倍も解となる
( x(t) = f(t) ) が解なら ( cf(t) ) も解。
2つの独立な解(定数倍の関係ではない解)が見つかれば、その和も解
( x(t) = f(t) ) , ( x(t) = g(t) ) が独立な2つの解なら ( f(t) + g(t) ) も解。

三角関数を使用する方法

単振動の運動方程式を解きます。

[ frac{d^2 x}{dt^2} = – omega^2 x ]

( x(t) = c_1 sin omega t ) , ( x(t) = c_2 cos omega t ) はいずれも解となりますが、定数をそれぞれ1つしか含んでいないため一般解ではないことがわかります。 この2つの解は定数倍の関係にはありません(独立)。

独立な解の和もまた解になりますから ( c_1 sin omega t + c_2 cos omega t ) もまた解です。 定数を2つ含んでいますからこれが一般解になります。

この一般解をさらに簡単にしてみます。 ( c_1 ) , ( c_2 ) は任意定数ですので、 どのような値をとっても方程式が成り立ちます。 そこで、 ( c_1 ), (c_2) を極座標として ( c_1 = a cos alpha ) , ( c_2 = a sin alpha ) と表します。

begin{eqnarray} & & c_1 sin omega t + c_2 cos omega t \ & = & a cos alpha sin omega t + a sin alpha cos omega t \ & = & a sin ( omega t + alpha ) end{eqnarray}

一般解は ( x(t) = a sin ( omega t + alpha ) ) となります。

複素指数関数を使用する方法

例として単振動の運動方程式を解くことを考えます。

[ frac{d^2 x}{dt^2} = – omega^2 x ]

これを複素関数の微分方程式として考えます。 複素関数を ( z(t) = x(t) + i y(t) ) とします。

[ frac{d^2 z}{dt^2} = – omega^2 z ]

これは ( x, y ) を用いて次のように書けます。

[ frac{d^2 x}{dt^2} + omega^2 x + i left( frac{d^2 y}{dt^2} + omega^2 y right) = 0 ]

複素数が0ということは実部と虚部がともに0であることに等しいので、次の2つの連立式と同じになります。

[ begin{cases} frac{d^2 x}{dt^2} + omega^2 x = 0 \ frac{d^2 y}{dt^2} + omega^2 y = 0 end{cases} ]

すなわち、複素関数の方程式として解いてその実部をとれば解を求められることがわかります。

そこで、 ( A ) , ( P ) を複素数の定数として ( z = A e^{Pt} ) と仮定して解いてみます。

[ A P^2 e^{Pt} = – A omega ^2 e^{Pt} ]

これより ( P = pm i omega ) となります。 そこで、 ( P = i omega ) , ( A = a e ^{i phi} ) として ( z(t) ) を計算します。

begin{eqnarray} z(t) & = & A e^{i omega t} \ & = & a e^{ i ( omega t + phi ) } end{eqnarray}

( x(t) ) は ( z(t) ) の実部となるので次のように計算されます。

[ x(t) = a cos ( omega t + phi ) ]

これは ( x(t) ) の一般解です。