代数系入門 (松坂和夫) 第2章 §5 問題11 解答


代数系入門(松坂和夫) の 第2章 §5 問題11 の解答です。

命題

( H ) を ( G ) の部分群とし、 ( H ) を法とする任意の2つの左剰余類の積は ( H ) を法とする1つの左剰余類になる。 このとき、 ( H ) は ( G ) の正規部分群となる。

証明

任意の ( G ) の元 ( a ) について、 ある ( G ) の元 ( b ) が存在して ( aHa^{-1}H = bH ) です。 このとき、 任意の ( H ) の元 ( h ) について ( aha^{-1}h in bH ) 。 よって、 ( aha^{-1} in bH ) 。 この左辺は部分群だから、 右辺 ( bH ) も部分群です。 よって、 ( e in bH ) すなわち、 ( e = bh ) となるような ( h in H ) が存在します。 このとき ( b = h^{-1} in H ) となるので、 ( aHa^{-1} in bH = H ) です。 よって ( H ) は 正規部分群です。