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互いに素なピタゴラス数が無限に存在することを証明します。
概要
自然数 1, 2, 3, … を2乗した数 1, 4, 9, … を考えます。 隣り合う2数の差は 3, 5, 7, … となり、3以上のすべての奇数が現れます。
begin{eqnarray} 2^2 – 1^2 & = & 3 \ 3^2 – 2^2 & = & 5 \ 4^2 – 3^2 & = & 7 \ 5^2 – 4^2 & = & 9 \ 6^2 – 5^2 & = & 11 \ 7^2 – 6^2 & = & 13 \ & vdots & end{eqnarray}その中には、奇数の平方数も含まれます。 奇数の平方数は無限に存在し、その平方数を生成するために差をとった2数と併せてピタゴラス数となります。
例
3, 4, 5 や 5, 12, 13 はこのパターンのピタゴラス数です。
begin{equation} 5^2 – 4^2 = 9 = 3^2 \ 13^2 – 12^2 = 25 = 5^2 end{equation}8, 15, 17 はこのパターンではありません。
証明
( m ) を任意の自然数とします。 奇数 ( 2m + 1 ) の2乗 ( 4m^2 + 4m + 1 ) を考えます。 ( n = 2m^2 + 2m ) とします。
begin{eqnarray} & & 4m^2 + 4m + 1 \ & = & 2 n + 1 \ & = & (n + 1)^2 – n^2 end{eqnarray}これにより、 任意の自然数 ( m ) について ( (2m+1)^2 + n^2 = (n+1)^2 ) となり、 ( 2m + 1 ) , ( n ), ( n+1 ) がピタゴラス数となることがわかります。 また ( n ) , ( n + 1 ) は連続する整数ですから互いに素です。 よって ( 2m+1 ) , ( n ), ( n+1 ) は互いに素なピタゴラス数となります。 ( m ) は無数にあるため 互いに素なピタゴラス数も無数にあることがわかります。
ディオファントスの式で紹介した式からも、ピタゴラス数が無数に存在することが証明できます。
begin{cases} a = m^2 – n^2 \ b = 2mn \ c = m^2 + n^2 end{cases}この式で、 ( m ), ( n ) は互いに素な自然数です。 ここで、 互いに素な自然数が無数に存在することを前提として、 ( ( m, n) ) から ( ( a, b, c) ) への写像が単射になることが示せればOKです。 偶数になるのは ( b ) だけですから、 同じ ( a ), (b), (c) を生成する ( (m_1,n_1) ), ((m_2,n_2)) が存在すると仮定すると、
begin{eqnarray} m_1^2 – n_1^2 & = & m_2^2 – n_2^2 \ 2 m_1 n_1 & = & 2 m_2 n_2 \ m_1 ^ 2 + n_1 ^ 2 & = & m_2 ^2 + n_2 ^2 end{eqnarray}この式を解くと ( m_1 = m_2 ) , ( n_1 = n_2 ) となります。 よって ( m ) , ( n ) の組が異なれば生成されるピタゴラス数も異なるものとなります。 互いに素な自然数の組 ( m ), (n ) が無数に存在することから、 互いに素なピタゴラス数も無数に存在することがわかります。