証明: 22 は無理数


有理数の定義は既知とします。 有理数でない実数を無理数といいます。

ここでは 2 が無理数であることを証明します。

証明

背理法で証明する。

2 が 有理数だと仮定すると、 ある互いに素な自然数 m,n が存在して次のように書ける。

2=mn

これより

\[ 2n^2 = m^2 . ]

左辺 ( 2 n^2 ) は偶数なので ( m^2 ) も偶数。 (すなわ)ち 自然数 k を用いて m=2k と書くことができ、

2n2=(2k)2=4k2n2=2k2

これより n も偶数だが、 m,n が互いに素であることに反する。 よって 2 は無理数。

同様に、 n が素数となるときの n が無理数になることも証明できます。

一般的に b が平方数でないとき、 ab(a,bN) は無理数になります。 有理数と無理数の積は無理数になりますので、 b が無理数になることを証明すれば十分です。 また、 b に 2回かけられている素因子は ルートの外に出せるので、 b が素数の積になっている場合のみ証明すれば十分です。

証明

bk 個の 異なる素数 b1,b2,,bk を用いて 次のように素因数分解されるとする。

\[ b = b_1 b_2 \cdots b_k ]

b が有理数だと仮定すると、 ある互いに素な自然数 m,n が存在して次のように書ける。

b=mn

これより

bn2=m2

左辺 bn2b1,b2,,bk を素因子に含むので、 右辺 m2b1,b2,,bk を素因子に含む。 すなわち m は 適当な自然数 c を用いて

m=cb1b2bk=cb

と書くことができる。 (したが)って

bn2=(cb)2=c2b2n2=c2b

m と同様にして nb の倍数となるが、 これは m,n が互いに素であることに矛盾する。

以上より nn が平方数の場合のみ有理数(整数)になることがわかります。

今回はルートについて証明を行いましたが mn(m,nN) についても同様に証明できます。

補足命題

有理数と無理数の積は無理数である。

証明

背理法で証明する。

p,q,r,s を 整数、 x を無理数として、 有理数 pq と 無理数 x の積が 有理数 rs になると仮定する。 このとき

pq=xrs

となる。 式変形して

x=psqr

となるが、 右辺が有理数となり、 x が無理数であることに矛盾する。

以上より 有理数と無理数の積は無理数。