証明: 無限小数になる有理数は循環小数


無限小数になる有理数は循環小数になることを証明します。 無限小数になる有理数というのは、 有理数になる小数の中で有限小数でないものになります。

割り算の操作をよく観察すればわかりそうなものですが、 感覚的なものを証明としてしっかり書いてみます。

感覚

たとえば 89 を 13 で小数の位まで順次割った場合、 余りは次のようになります。

89÷13=6余り11110÷13=8余り660÷13=4余り880÷13=6余り220÷13=1余り770÷13=6余り550÷13=3余り11110÷13=8余り6

7 回目 の割り算で 1 回目 と同じ余りが出てきました。 13 で 割った時の余りの数は 1 から 12 の 12 種類しかありませんから、 13 回 割り算をやっても割り切れなかったら どこかで同じ余りが出ていて循環小数になることがわかります。

これを長ったらしく書くと証明になります。

証明

無限小数になる有理数、 (すなわ)ち 整数でもなく有限小数でもない有理数を、 互いに素な自然数 p,q を使って qp と表します。 次のように 数列 kn,rn を定義します。

kn={q÷pの商(n=0)10rn÷pの商(n1)rn={q÷pの余り(n=1)10rn1÷pの余り(n2)

すると、 分数 qp は 無限小数として

k.k1k2k3kn=k+k110+k2102+k2103++kn10n+

と書けます。

今、 rn=0 なる n が存在すると qp は有限小数になるので すべての n について rn1 。 また p で割った時の余りであることから rp1 。 したがって p 個 の余り r1,r2,,rp のうち少なくとも 2 つ は一致します。 即ち 次の式を満たす自然数 m,n が存在します。

rm=rn,1m<npkn=km,kn+1=km+1,kn+2=km+2,

これより、 qp は 小数 第 m 位 以下に 数字の配列 kmkm+1kn1 が無限に続くことがわかりました。

逆に循環する無限小数が有理数になることも証明できます。